2016年1月29日
株式会社 環境装備エヌ・エス・イー
代表取締役 中岡 勉氏
建築空調・衛生設備の設計・施工に特化し、身の丈にあった堅実な経営で成長を続けている株式会社 環境装備エヌ・エス・イー(東京都調布市、中岡勉社長)。2014年からは明確なビジョンと具体的な数値目標を定めた5年間の中期経営計画に着手し、持続力の高い企業体質の確立に取り組んでいる。中岡社長に、同社の特色や強み、目指す企業像などを聞いた。
企画提案力と高品質な施工で信頼を獲得
中岡社長は1992年6月に、10年近く勤めた医療施設系の設備工事会社を退職。在職中取引のあった協力会社の後押しもあって翌月から個人で設備工事業を創業し、1993年4月、同社を設立した。
当初は前職での経験を生かし、医療系施設の設備工事を中心に事業を行っていたが、都市部で住宅投資が伸びてきたのを受け、2002年から住宅設備の施工に本格参入。メーカーと共同で集合住宅ユニットシステムを開発したり、経済的な設備計画を提案したりするなど工夫を重ね、受注を伸ばしていった。
その企画力と高品質な施工が元請けやデベロッパーから評価され、現在では住宅設備工事が完工高の9割以上を占めているという。
中岡社長は、「ISO9001の取得にあたり市販品の転用ではなく、当社が日常的に使っている言葉や書式と、自ら作成した文書で品質マニュアルを構築しました。そのマニュアルを会社の法律として、品質管理の徹底を図っています。会社規模、技術開発費などは大手には及びませんが、きめ細かい施工プロセスと質の高さでは絶対に負けません」と自負する。
若手の自律を促し、一人前へとしっかり育てる風土
一方、中岡社長が課題にあげているのは人材育成。社員24人のうち過半が20〜30歳代で、技術、工事の部門長も40歳代半ばと、平均年齢が若い。
「若手の成長度は70%程度。まだ先輩、上司に頼っている面が見受けられます。一人ひとりが“君じゃなきゃだめだ”と、お客さまから頼りにされる技術者になってほしい。そう言われることが、仕事の張り合いとなり、人生の生きがいともなります。私自身、あてにされることに技術者としての醍醐味を感じてきました。若い分、今後の伸び代に大いに期待しています」。
社員の自立性を高めるため、最近は直接指示することを控えているそうだ。
「すべて社長自らやっていては、組織も、人も成長が止まってしまいます。日々努力して徳を積み、お客さまが心から喜んで頂ける成果品を提供できる企業を社員一丸となって目指しています」
職場環境の改善を行い働きがいのある会社づくりを実践
会社の持続的成長に向け、新卒採用も強化しているが、建設業界は他産業と比べ若手の入職者が少ないことを危惧する。
「一番の理由は、残業や休日出勤の多さにあると考えます。当社ではこうした建設業のマイナスイメージを払しょくしようと、できる限り就業時間内に業務を終わらせることを心掛けています。残業しなくても仕事を完遂できれば、賞与で評価します。また入社後のステップアップをサポートします。管工事施工管理技士をはじめとする資格の取得に向けた勉強会や、協力会社を交えた安全衛生教育、技術交流などを定期的に実施しています。職場環境の魅力を高め、雇用の充実を図っていきます」
現在の経営計画は18年で一区切りを付けるが、引き続き、設立30年を迎える23年を最終年とした経営計画を始動させる。7年後のその年、中岡社長は会長職に就き、社員の中から後継者を選ぶ意向を示している。
【取材後記】
2015年4月15日、安全協力会を「環境維新会」に拡大改組した。労働安全衛生活動に加え、技術・品質・顧客満足の向上を図るため、労使の親睦を深め、総括維新する会へと発展させた。会の名称は、かつて同社が、集合住宅分野に参入するにあたって、プレハブ化や革新的な資材の採用・工法の開発に向けて立ち上げた研究会「維新会議」に由来する。維新という表現に、常に改革を求める同社の姿勢が表れている。
社員の平均年齢が30歳代前半という若い力と明確な方向性を持ってチャレンジし続ける経営により、設備工事業界での同社の位置づけがさらに高まることを期待したい。
[了]
(株)環境装備エヌ・エス・イーでは、「空調衛生設備の施工管理技術者」の中途採用を行っています。
本社:東京都調布市仙川町1-8-1
創業:1992年7月
設立:1993年4月
資本金:3000万円
事業内容:空気調和設備・給排水衛生設備・消火設備・電気設備/医療用ガス設備・その他付帯工事の設計並びに施工
中岡 勉(なかおか・つとむ)
1962年4月2日生まれ
1983年3月 国土建設学院設備工学科卒
1983年4月〜1992年6月 大武工業勤務
1992年7月 個人創業
1993年4月 (有)環境装備エヌ・エス・イー設立
1995年5月 株式会社に改組
※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。
« 三洋工業株式会社 取締役社長 菊地政義氏|
株式会社CORE技術研究所 取締役社長 真鍋英規氏|
案件は新築が中心。独自の品質マニュアル、施工プロセスで質の高い工事を実行。
どんな時も「お客様が心からよろこばれる成果品の提供」に努める。
技術アドバイスやコスト低減案等の提案力と高品質な施工に定評。
案件はリピートおよび紹介による受注が多くを占める。
集合住宅のほか医療施設・介護施設から公共工事まで様々な案件を担当する。
若手が多く活躍する社内。資格勉強会やメーカーの技術勉強会など人材教育に注力。
「環境維新会」所属の協力会社が一堂に集まる安全大会。