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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2015年10月30日

オリエンタル白石式会社
施工・技術本部技術部補修補強チーム

永吉 雄太

オリエンタル白石株式会社は、プレストレストコンクリート(PC)、ニューマチックケーソンなどの特殊技術を武器に、橋梁、道路を中心とするインフラの補修補強分野で強みを発揮している。3年前から新卒採用を本格再開。未来を担う技術者育成にも注力し始めた。2013年に入社した施工・技術本部技術部補修補強チームの永吉雄太氏に、若手からみた同社の魅力、仕事のやりがいなどを聞いた。

コンクリートの研究に没頭した大学時代。

永吉氏は、鹿児島大学で土木工学を専攻。学生時代は、「コンクリートの塩分浸透抵抗性の評価手法の確立」など塩害に強いコンクリートの研究に没頭した。就職先には、専門性を生かせる土木分野を得意とする建設会社を志望。就職活動で注目した1社が、ニューマチックケーソンやPCなどの技術で業界をけん引してきたオリエンタル白石だった。

ある日、リクルーターとして大学の研究室を訪問してきた同社の鹿児島営業所長に「現場を見せてほしい」と依頼したところ、二つ返事で了承。
「当日は、営業所長自ら大学に迎えに来てくれて、鹿児島湾を挟んで反対側の大隅半島側にあるPC橋の張り出し上部工の現場まで連れて行ってくださいました。建設現場を中から見たのはその時が初めてで、スケールの大きさに驚くとともに、構造物が大勢の人たちの力でつくられていることを実感しました。所長も一人の学生のために、懇切丁寧に説明してくださり、技術力に加え人の温かさにも惹かれ、当社を就職先に選びました」。

入社1年目で社を代表する工法を体験。

本社・現場・技術研究所での3カ月間の研修を経て、施工・技術本部技術部の技術チームに配属。1年目が終わろうとするころ、中央自動車上り線の「八王子ジャンクション〜相模湖インターチェンジ」間に位置する上長房橋の床版取替工事(発注・中日本高速道路株式会社 八王子支社 八王子保全・サービスセンター)の現場に異動した。

上長房橋は、1964年の道路橋示方書の基準で設計された上部工形式が2連の3径間連続4主鈑桁橋で、延長は161.9m。1968年の供用から約45年が経過し、交通量の増大に伴う劣化や老朽化が進んでいた。

床版取替工事に適用したのは、同社一押し技術のSLJスラブ工法。SLJスラブは、プレキャストPC床版の接合部にエンドバンド鉄筋を使用することで、一般的なループ継ぎ手よりも床版厚を薄くできるため、重量が軽くなり、既設構造物への荷重増加を抑え、工事費の低減に寄与する。

床版の取替えは、追越側と走行側に分割し、片車線規制による半断面施工で実施。上り線を通行止めにすることなく、2週間の集中工事で完了した。

若手のモチベーションを上げる社風。

永吉氏は現場終了後、再び技術部に戻り、現在は補修補強チームで各種工法の研究、現場への技術支援などに取り組んでいる。

同チームでは、橋梁や道路の補修補強工事の需要増に伴い、鉄道高架橋下など狭い作業空間でも施工が可能な吊り上げ式鋼板巻立工法の「RSPリフトアップ工法」や、アクリル系樹脂接着剤を特殊繊維シートに塗布して透明度の高いFRPをコンクリート表面に形成し、施工後のコンクリート表面のひび割れの進展、新たな発生などを目視観察できる「NAV-G工法(UV仕様)」などの新工法を相次いで開発した。

永吉氏は「若手でも、半断面施工という特色のある現場を経験させてもらったり、研究開発の最先端に携わらせてもらったりして、常に高いモチベーションを持って業務に励むことができます」と社風の魅力を話す。
今後、高度成長期に建設されたインフラが続々と更新期を迎える。永吉氏の世代が活躍する場は、確実に広がっている。

【取材後記】
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備や政府の積極的な公共投資などにより、建設需要が拡大している半面、資材の高騰や労務不足への対応が迫られている。特に人材確保・育成は、企業の安定成長にとって重要な課題だ。オリエンタル白石の2016年新卒採用予定数は、2015年のほぼ2倍。永吉氏をはじめ次代を担う若手が、基礎・PC技術を伝統に同社の強みをさらに伸ばしていくだろう。

[了]

本社:東京都江東区豊洲五丁目6番52号
創業:1952年10月21日
資本金:5億円
売上高:365億円(2015年3月期)
従業員数:619名(2015年3月31日現在)
事業内容:プレストレストコンクリートの建設工事および製造販売/ニューマチックケーソンの建設工事/補修補強の建設工事/耐震補強建築工事の設計・施工/建設資材の販売/太陽光による発電事業及びその管理・運営並びに電気の供給、販売

永吉 雄太(ながよし・ゆうた)
1990年 熊本県生まれ。
2013年 鹿児島大学工学部海洋土木工学科卒、オリエンタル白石株式会社入社
    本社施工・技術本部技術部技術チーム配属
    大阪支店施工・技術部土木工事チーム配属
    中央自動車道上長房橋補強工事(平成25年度)
2014年 本社施工技術本部技術部補修補強チーム

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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中央自動車道上長房橋床版取替工事でのSLJスラブ架設

中央自動車道上長房橋床版取替工事 完成時

SLJスラブ概要図(略図)

「エンドバンド継手接合部詳細」SLJスラブの橋軸方向接合部におけるエンドバンド鉄筋の継手長さは、鉄筋径の15倍となり、従来の重ね継手長の半分程度にすることができる。またエンドバンドが薄肉のため、鉄筋のかぶり増加が少ないことが特長だ。