• HOME
  • (株)大矢運送 代表取締役社長 大矢一彦氏
「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2015年7月31日

株式会社 大矢運送 代表取締役社長

大矢 一彦

移動式クレーン揚重工事でオンリーワン企業を目指す株式会社大矢運送。都内トップクラスの重機の保有台数、現場ニーズに応えた機動力、安全・効率的な揚重計画の立案力などを強みに、大手建設会社も一目置く企業に成長した。現在、都心では再開発や建て替えを中心に建設需要が活況で、同社の平均クレーン稼働率は100%を大きく上回っているという。大矢一彦社長に、事業の現況や経営方針を聞いた。

“2代目”を全面押しにした営業戦略。

同社は、現会長の大矢要氏が1961年に東京都江東区で創業。建設機械やビル鉄骨の運搬からスタートし、日本の経済成長とともに事業を拡大してきた。一彦氏が入社したのはバブル経済絶頂期の1989年。

「江東区は建設ラッシュで、建設現場への資材の搬送やクレーン揚重工事で大手ゼネコンとの直接取引を開始しました。本社とモータープールが臨海部にある利便性を生かし、車両回送時間の短縮、輸送コストの低減といった要求を満たしながら、建設会社との取引を伸ばしていきました」

一彦氏が採った営業戦略は、2代目を売りにすること。
「創業者の息子が自分の力で会社を大きくしているといっても信用してくれません。それならいっそ、2代目であることを強みにすればいいと考えました。2代目の立場なら、幹部社員であってもいったん社内に持ち帰って検討するほどの難しい要求に対しても、自らの責任で即決し、その場で契約に結びつけられます。入社して十数年は、朝から晩まで現場営業にあけくれました」と振り返る。

2003年の社長就任以降も、メールアドレスのアカウントはnidaime≠使用。2代目であることをはばからず営業の先陣を切り、25年前は全体の2割程度だったクレーン事業を8割以上に押し上げた。

提案力の高い社員を育て、他社との差別化を図る。

「もちろん、クレーン事業の基盤を固められたのは個人の力ではなく、社員の提案力によるところが大きい。当社は主流になる前からCADソフトを導入し、全ての営業社員がクレーンの配置・解体計画、工程などを施工図に落とし込んだCAD図面を作成できる能力を習得しています。特に都心の狭い場所でのクレーン揚重工事の提案力は他社の追随を許さず、建設会社も評価してくれます」

綿密な提案に加え、社員のこまやかな心遣いや丁寧な物腰が同社の特徴だ。

「お互いに感謝しあう、人に優しい職場環境づくりに心がけています。当社を訪ねてくれたお客さまにも心地よく思っていただきたい。当社が扱う重機やトレーラーは、一般の人から見ると威圧感や恐怖感があります。そうした印象を払しょくし、我々の仕事を理解していただくために、回送も揚重も魂を込めて丁寧に行っています」。

クレーン業界の一等地に本社を新築・移転、一層の事業拡大を目指す。

今年5月、江東区の辰巳から同じ区内の新木場に本社とモータープールを新築、移転した。

「荒川の内側にある江東区は、クレーン業界にとっては銀座の一等地。橋を何本も渡る必要がないため、ほぼ正確な時間に現場に到着できます。コンプライアンスを重視する顧客の中には、走行距離が長くなる分、事故リスクも増加すると見る会社もあり、江東区に拠点を構えていることは営業的に非常に有利です」。

一方、安定的な経営を継続していくための課題として『クレーンオペレーターの確保』をあげる。
「今は比較的、資金調達も設備投資も容易ですが、道具があっても使える人がいなければ、どうしようもありません。熟練オペレーターが高齢化していく中で、当社を就職先に選んでもらうため、給与、福利厚生、処遇、社会保険など他社以上に人に投資しています。以前は経験者に限っていましたが、人口減少社会を迎え人手不足が解消される見込みがないので、経験の有無を問わず採用し、次世代の人材確保に力を入れていきます」。

【取材後記】
「同業他社の多くも代替わりをしている中で、2代目同士の勝負では負けないという自信があります。その自負を表すと同時に、過信しないよう戒める意味でメールアドレスに“nidaime”を使っています」という話しぶりから、気風のよい実直な人柄が伝わってくる。大学で仏文を専攻し、語学も堪能。社員思いで、鉄の塊の大型重機を扱う会社のイメージが一気に払しょくされる。都心でブルーのアームに『HUMAN OHYA』と書かれたクレーンを時々目にする。その言葉から「人を大切にしたい」という社長の思いが伝わってくる。

[了]

本社:東京都江東区新木場1-12-19
設立:1961年4月
資本金:1000万円
従業員数:128名
事業内容:各種移動式クレーン / オペレーター付リース、重量物運搬工事、敷鉄板リース・運搬・敷設撤去工事、重機作業計画立案・コンサルティング業務

大矢一彦(おおや・かずひこ)
中央大学文学部(フランス語文学文化専攻)卒
1989年大矢運送入社
2003年代表取締役社長
大のサッカー好き。2015年4月1日「サッカーを通して地元の人々とのつながりを深め、青少年の健全な心身育成を支援すること」を狙いに、J1のFC東京とスポンサー契約を締結した。

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

« (株)誠和 代表取締役 成田 英文氏| ライト工業(株) 施工技術本部  防災技術部 施工開発グループ 宮本 賢人氏

建設WALKERエージェント─建設業界、一人で迷っている人へ─専任アドバイザーが転職活動を徹底支援!サイト掲載前の非公開求人情報も豊富です!

新社屋(2015年5月完成)(撮影/倉本敬子)

打ち合わせの様子(撮影/倉本敬子)

社長室でのミーティング(撮影/倉本敬子)

社長室の窓越しに見えるモータープール(撮影/倉本敬子)

モータープール夜景(撮影/倉本敬子)