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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2015年5月29日

株式会社 鈴木組 代表取締役

鈴木 央

大林組の主力協力会社として建築現場の鳶(とび)・士工・仮設工事を担う株式 会社鈴木組(東京都文京区)。創業は江戸時代に遡り、徳川家の土木工事を請け 負っていた。明治に入ると三菱創始者の岩崎家の土木工事を手がけ、1895年 に大林組が関東に進出したのと同時に傘下となり、以来、大林組の下請けに徹し ている。古くは東京中央停車場(東京駅)、旧丸ビル、近年は東京スカイツ リー、オーク表参道など時代を飾るプロジェクトに参画。世紀を超えて高度な専 門技術を発揮し続けている。鈴木央社長に経営方針を聞いた。

これまでに約150人を輩出した「鈴木職業訓練校」。

いま同社が業界で注目されているのは人づくり。1994年4月から、東京都知事に認定された「建築施工系とび科」の企業内訓練校「鈴木職業訓練校」を足立区青井で運営し、架設技能工の育成に取り組んでいる。土地は自社で購入し、施設の建設にあたっては大林組が全面的に支援した。

「父である先代社長の鈴木確生は、人を育てなければいけないという信念を持ち、とびを架設工(たか)に変える≠標榜して訓練校を開校しました。これまでに約150人の人材を送り出しており、当社の信頼向上にも寄与しています」と訓練校学長の鈴木社長は自負する。

新入社員は、給料をもらいながら全寮生活を送り、1年間に500時間の座学と1100時間の実技を習得する。所定のカリキュラム修了後、東京都の立ち会いによる技能照査に合格し、技能士補の資格を取得してから現場に配属される。

現在は職業訓練指導員の資格を保有する社員も座学と実技の一部を教えているが、開校からしばらくは、建築概論や建築法規などの座学の講義は、大林組から派遣された講師が行っていた。

新入社員のほとんどが高校、専門校の新卒者で、出身学科は建築科に限らず普通科や農業科など様々。毎年、北海道から東北・東京近県まで全国60校ほどの学校を訪問して社員を募集する。最近はホームページを見て、直接応募してくる生徒もいるそうだ。

先代社長の遺志をつなぐ“人づくり”。

一方、助成金を利用しているものの、訓練校の規定上、労働による対価をもらうことは禁じられているため、訓練校の維持は経営的に大きな負担となる。

「正直、建設需要が落ち込んでいた時期には、閉校したらどうかという意見もありました。しかし、昨年他界した父の遺志を受け継ぎ、人づくりは当社のみならず建設業界の使命であり、継続することが重要だという強い意志を持って、訓練校を運営しています」

現在、建設業界は技能労働者の不足が深刻化。副学長の野伸一郎専務は「どれだけの人を確保できるかが受注を左右します。自社で人材を育成していることは、当社の大きな強みです」と話す。

仕事ぶりを高く評価され活躍する卒業生たち。

訓練校の卒業生は資格取得に意欲的で、中堅社員の多くは大林組のスーパー職長や登録鳶・土工基幹技能者として活躍し、中には優秀施工者国土交通大臣顕彰者(建設マスター)、安全優良職長厚生労働大臣顕彰者、東京都優秀技能者(東京マイスター)などもいる。リーダーにふさわしい能力を備えた人材は幹部に登用して、後輩の育成を任せる。半面、独立も支援する。

鈴木社長は「若手が一人前に育ち、結婚して子どもが生まれ、自宅を購入したという話を聞くと、非常にうれしく思います。彼らが大林組の職長として成長し、質の高い仕事を提供していけば、さらに受注も増えるでしょう」と社員への思いやりと期待を述べながら「当社グループの信用、信頼がさらに高まるよう、すべての人を大切に考え、安全・安心を伝えられる会社運営に全力を尽くしたい」と経営姿勢を語る。

【取材後記】
大林組一筋120年。鈴木社長は先代に続き、東京林友会の副会長を務める。日本は、少子化の進行に伴い若年労働力が減少。特に労務不足が業界共通の課題となっている建設業界にあって、鈴木組は20年以上にわたり自社費用を投じて人材育成に取り組んでいる。鈴木職業訓練校は業界内に限らず、厚生労働省、東京都など行政も注目。優れた技能を備えた人材を輩出するその活動を顕彰している。建設業界に生きる同社の使命感や責任感の強さを見た。

[了]

本社:東京都文京区根津2丁目11番2号 クレストホーム根津2階
鈴木職業訓練校:東京都足立区青井4-44-20
創立:1956年10月
資本金:1000万円
売上高:30億5479万円(2014年8月度)
事業内容:建設工事( 鳶工事/土工事/物流工事/養生・クリーニング工事/斫り・杭頭処理・内外装解体工事)

鈴木 央(すずき・なかば)
1962年 群馬県生まれ
1986年 東海大学 工学部卒
1991年 鈴木組入社
1999年 社長就任 東京林友会副会長

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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鈴木職業訓練校 副学長を務める専務取締役 高野伸一郎氏

職業訓練校の青井ベースハウス

訓練校での授業風景

訓練校での足場実習風景−1

訓練校での足場実習風景−2

訓練校での足場実習風景−3