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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2015年3月27日

三成研機株式会社 執行役員 技術部長

浅野 毅

1965年の創業以来、一貫して工事用エレベーターや中小型クレーンなどの建設機械の設計、製造、レンタル、販売を手がけている三成研機株式会社(埼玉県日高市)。 保有台数とレンタル数で業界トップのシェアを占める。執行役員技術部部長の浅野毅氏に、同社の機械の開発方針や最近の事業環境などを聞いた。

圧倒的な優位性を誇る“三成ブランド”

「ゼネコン各社は、技術の進歩にあわせてより合理的、効率的な建設工法を生み出してきました。当社は50年にわたって、それぞれの工法に最適な建設機械を独自に開発、提供し続けています。工事用エレベーター、小型クレーンの三成ブランドの知名度や信頼性は、他社をしのぐと自負しています」。

本社工場の敷地には、所狭しと建設機械が並び、現場からの要請に迅速に出荷できる体制を整えている。最近は、建設投資の回復で需要が増加。労務不足への対応から、現場作業を機械化する傾向が高まっているのを受け、建設機械の稼働率が伸びているという。

なかでも好調なのが、床長さが6.6mと長く、一度に多くの資材を運ぶことができるロングスパン工事用エレベーターの低床タイプ。床面間際の270mmまで着床できるため、資材の積載、荷降ろし作業の軽減に有効だ。2年前に開発したところ、低・中層マンション工事を中心に引き合いが相次ぎ、昨年1年間で約70台を生産した。

解体工事向け機械の依頼が増えているのも近年の特徴。解体時に既存ビルを囲う養生フレームをビルの解体に合わせて下降させる駆動装置を、都心の再開発現場向けに開発した。

「当社には、できることはどんどん挑戦しようという社風が培われています。若手でも自らのアイデアを開発に生かすチャンスがあります。自分も入社して3カ月後に、幅600mmの枠組足場に取り付けの200kgクラスの小型簡易クレーンの開発を一任されました。現在では幅900mm、1200mmの型枠足場に取付けのクレーンが主流となっていて使われることは少ないですが、完成したときは達成感にあふれ、とてもうれしかったことを覚えています」。

浅野氏の1号機は役目を終え、本社工場で大切に保存されている。

新分野・異業種への挑戦。

「技術部の仕事は、新しい機械の開発・設計だけでなく、現場での設置方法、撤去方法の提案など幅広い。当社製品を採用することで、工事の安全と作業効率の向上に貢献できることを目指して、日々、努力を重ねています。実際、お客さまに喜ばれるのは、工事中にトラブルが無く役目を果たし終えた時で、現場の誰でもが経験の多寡にかかわらず、使いこなせるような機械の提供を心がけています」。

完成に至るまでは、試行錯誤の繰り返し。最も苦心するのは機能とコストとの兼ね合いで、高機能化しても高コストになれば価格競争力が低下してしまう。差別化された機械を顧客の要求コスト以内で製造できるかが技術部の使命だ。
浅野氏は「当社には若い世代が多い。若さの強みである自由闊達(かったつ)な雰囲気を生かして、新しい機械の開発に取り組み、市場を切り開いていきます」と力説する。

現在、新たなターゲットとして新分野・異業種へ、いままで培った技術を基に商品化を進めている。

「業界によっては老朽化が進んでいて経年問題も顕在化しています。更新需要にあわせ、当社の技術の特長をPRし、優位性のある商品を競争力のある価格で提供したい」と、新分野開拓への意欲を見せる。

【取材後記】
建築現場で、作業員や資材の運搬、揚重に欠かせない建設機械。三成研機は、工事用エレベーターとタワークレーンを中心に、現場ニーズに最適な建設機械を50年以上にわたって提供し続けてきた。浅野氏は、入社3カ月目に任された定格荷重200kg、作業半径2mの簡易足場クレーンを皮切りに32年間でジブクレーン19機種、工事用エレベーター7機種の開発に携わった。若手の時分から、自らのアイデアを生かして開発に挑戦できる社風が同社の原動力となっている。

[了]

本社:埼玉県日高市森戸新田59-10(埼玉本社・本社工場)/ 東京都豊島区高田3-18-14(東京本社)
設立:1965年6月25日
資本金:5000万円
事業内容:建設機械設計、製造、販売、レンタル/建設安全機器、設計、製造、販売、レンタル

浅野毅(あさの・つよし)
1963年 埼玉県生まれ
1983年 中央工学校卒業、三成研機株式会社入社
1992年 技術部開発課 課長
1997年 品質保証部 副部長
2002年 生産部 部長
2006年 技術部 部長
2010年 執行役員 技術部長
ジブクレーン19機種、工事用エレベーター7機種をこれまでに開発している。

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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