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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2014年04月25日

株式会社小黒組 代表取締役社長

千代田 則雄

今年で創業84年、会社設立60年を迎えた鉄筋工事業界屈指の歴史を有する株式会社 小黒組(東京都江東区)に、8人の新卒が同社初の直用工として入社した。 少子高齢化が進み、若年労働力不足が顕在化してきたのを受け、自ら鉄筋工の育成に乗り出した。千代田則雄社長に鉄筋工事業界の現況や同社の経営方針などを聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

若手にとって“魅力ある業界”への転換に注力

建設業界は現在、震災復興事業、公共工事の増加、オリンピックに向けた施設・インフラ整備など久しぶりに活況を呈している一方、人手不足が深刻化している。

千代田社長は「職人の賃金は長年、仕事量の多寡に応じて、高くなったり低くなったりする繰り返しでしたが、下がった場合でも一定水準は維持されていました。しかし、リーマンショック以降、建設投資の減少に伴って受注競争が激化し、施工単価が大きく下落しました。そのしわ寄せが職人の賃金に及んだ結果、若手を中心に職人が業界を離れていきました。鉄筋工は、この10年間で7万人から4万2000人に4割も少なくなり、そこに来て、工事が急増し職人の手配が追いつかなくなっているのです」と人手不足になった理由を説明する。

同社はいまの状況を見越して、3年前に施工部を立ち上げ、鉄筋工事経験者の直用を開始。そして今年4月、主に工業高校や専門学校の新卒者を直用工に採用した。

「将来の労働力を確保するには、若い世代が魅力を感じて働きたいと思う業界にする必要があります。魅力の第一は安定収入。当社は、職人で慣例の日給制ではなく、賃金保証のある月給制で雇用し、新卒者を一人前の鉄筋工に育て上げることとしました。彼らには、一日も早く当社の戦力となり、将来の鉄筋工事業界を担う人材になってほしい」

直雇用・独身寮など手厚いサポートで人材を確保

昨年12月には、本社近くに社員だけでなく協力会社や職長が抱える職人を入居対象にした「亀戸寮」が完成した。
「通常は職長がアパートを借り上げ、一部屋に3〜4人の職人が生活しています。亀戸寮は相部屋ではなく31室すべてが個室で、賃料も安く設定しています。職長の負担を軽減し、職人を集める一助になると思います」

同社は約90の協力会社と取引があり、そこの職長、職人が現場を支えている。中には代々小黒組一筋で2代目、3代目になる職人一家もある。直用や寮の建設はこうした職長、職人への恩返しの意味合いもある。

鉄筋工事の完成工事高は職人の数で決まる。職人が少なければ、いくら仕事があっても受注できないが、より多くの職人を手配できれば、仕事が減ってもその分受注を確保することが可能となる。「職人の数をいまの535人から5年間で800人程度に増やして、施工能力を高めてシェアを伸ばします」

創業来、死亡災害ゼロは“安全”へのこだわりの証

“安全と責任施工は小黒組の誇り”―。
ヘルメットすらかぶっていなかった60年前に安全を経営理念に掲げた同社は、言葉通り過去に死亡災害を一度も起こしていない。

2012年には業界で初めて、建設業労働安全衛生マネジメントシステムの認証を取得した。こうした安全への高い信頼性が、ゼネコンや職長、職人との強固な関係を築き上げてきた。

全国鉄筋工事業協会会長を務める同社の内山聖会長は「小黒組を日本一の鉄筋工事専門工事会社にしたい」と希求する。千代田社長は、内山会長と思いを一つに、リーディングカンパニーにふさわしい企業として、一層の飛躍を目指している。

【取材後記】
昨年、3カ年の中期経営計画が始動。初年度は、アベノミクスなどの追い風を受け目標を達成した。 本年度も順調な滑り出しという。ただ千代田社長は、いまの状況を復興事業や東京オリンピック関連工事が終わるまでの期間限定と認識。 持続可能な成長に向け人材の確保、育成を進め、再び工事量が減少する時代が来ても仕事を確実に受注できる強固な体制づくりを重点方針の一つに、経営に取り組んでいる。

[了]

本社所在地:東京都江東区亀戸2-17-15
創業:1930年
設立:1954年
資本金:2,400万円(授権資本 4,800万円)
事業内容:
1.鉄筋工事業
2.とび・土工工事業
3.建築工事業
4.鋼材類の販売
5.不動産の売買、仲介、賃貸、管理
6.損害保険代理業
7.前各号に附帯する一切の業務
会社HP:http://www.oguro-gumi.co.jp/

千代田 則雄(ちよだ・のりお)
1950年 千葉県生まれ
1974年 日本大学理工学部建築学科卒、株式会社長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。北関東支店建築部部長、東京本社建築本部リフォーム推進室長、東京本社都市再生事業部リフォーム工事部参与、株式会社フォリス(長谷工グループ)常務取締役などを歴任。
2007年 小黒組出向、常務執行役員営業工事統括本部長
2008年 小黒組入社、専務取締役就任
2010年 代表取締役社長就任

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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@毎朝の朝礼。その日の作業内容や注意事項をきちんと伝達。

A打ち合わせ風景。各工種がバッティングしないよう調整を行う。

B年上のスタッフにも臆せず、毅然と指示を出す。

C日々、大きなやりがい、張り合いをもって、現場に従事する。

D担当2年目を迎えた東京外環自動車道の田尻工事現場