“三位一体”の事業で建設業界のあらゆるニーズに応える
「当社の特色を一言で表現すると、技術者派遣、建築工事、設計の“三位一体”。それぞれを有機的に結びつけて事業を展開しています」と宮地社長は話す。
ゼネコンやハウスメーカーなどからの要請で、工事監理、施工管理に従事する技術者を現場に派遣し、その縁で竣工後の修繕・改修工事を請け負う。
「リフォーム専門の工事会社は数多くありますが、元請けの所長からすれば、技術者の資質や力量がわかっている当社に頼んだ方が心強い。当社が請け負うのは、もっぱらアフター的な仕事。新築のように受注営業のための人員やコストが不要となり、合理的な経営が実現できます」
未経験者を10年でプロに!「礎を築く育成機関」
技術者は派遣部門を含め全員、常勤雇用。「企業が存続する最大の意義は社会貢献であり、その一つが雇用の安定と雇用機会の拡大だと考えます。継続雇用や賃金の保障のない登録型派遣業と違って、当社は正社員として採用し“10年礎”という方針のもと、建設業の未来を担うプロに育て上げるための教育カリキュラムを実践しています」
新入社員や異業種からの転職者など未経験者は約2カ月間、富士教育訓練センターでの合宿研修で建設業の基礎を学び、引き続き1カ月間、社内で施工図作成やCAD操作などの技術を習得したうえで、各部門に配属される。その後も技術フォロー研修、施工管理技士、建築士の受験対策講座、キャリアアップセミナーなどを定期的に行い、10年をめどに、同社の管理職、PM・CM、ゼネコンや設計事務所への転籍、起業など各人が希望するキャリアアップを支援する。
「技術者を社会に輩出するのも、当社の使命。当社の取引先企業に転籍して活躍してもらえれば当社の評価が高まるだけでなく、その企業とさらに関係性が増し、新たな取引が生まれたり、若手指導の受け入れ先になってもらえたりするなどのメリットも期待できます」と宮地社長は言う。
バブル崩壊後、市場の縮小が続いていた建設業界は現在、震災復興事業の本格化、安倍政権による公共投資の拡大、発注が予定されている2020年東京五輪関連の施設整備などで活気を取り戻しつつある。一方、現場の施工管理技術者が不足する傾向が見られ、建設業への若手の入職促進や人材確保は業界全体の喫緊の課題。同社の技術者育成への取り組みは、こうした課題解決にも寄与する。
グループの総合力を発揮し、さらなる成長を目指す
同社は、大手不動産会社や投資会社など建築プロジェクトの事業主を対象にコンサルティングやアウトソーシングのサービスを提供するフロンティアコンストラクション&パートナーズと、建物管理会社向けの法定検査・長期修繕計画策定・建物診断を手がける株式会社インサイトとグループを形成。グループ会社を通した設計支援業務や大規模修繕工事の受注も経営を安定させている。
「三位一体の仕事のサイクルをさらに強固にするとともに、グループ会社との連携を密にして景気の変動に左右されないビジネスモデルを確立し、3年後に売り上げを前期の7.5億円から15億円に倍増を目指したい」。
【取材後記】
低迷を続けていた建設市場が久しぶりに上昇気配を見せる半面、技術者・技能者不足と労務費の高騰が建設業界の課題となっている。
景気の波にあわせた雇用や人材育成を行ってきた従来型の建設業のスタイルが、いまの状況を招いている。
「新しい建設業を切り拓く」。このメッセージには、景気に左右されず常に安定した受注、人材を確保できる事業モデルを確立したいという宮地社長の思いが込められている。
社内で育てた専門技術者を元請けに派遣するとともに、自社で設計、工事を請け負う三位一体の事業を展開する同社の今後に注目したい。
[了]
コンテックでは、現在、「施工管理(建築・土木・捏微)」の中途採用を行っています。詳しい求人内容はこちらへ。
本社:東京都中央区八重洲2-2-1 ダイヤ八重洲口ビル8階
設立:2005年6月
資本金:3000万円
社員数: 130名(2013年3月末時点)
事業内容:建設技術サービス/建設技術者派遣/建築工事/建築設計/建設技術研修
宮地 俊斉(みやち・としひと)1966年生まれ。
日本大学生産工学部建築工学科卒業。
株式会社フジタ入社。関東支店、東京支店の建築工事部で大規模複合開発、事務所、共同住宅、工場等の現場工事管理を担当。
2001年9月、フロンティアコンストラクション&パートナーズ株式会社の立ち上げに参加。
2006年9月常務執行役員。2010年9月株式会社インサイト設立、代表取締役社長。
2012年1月株式会社コンテック代表取締役社長就任
※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。
« ヒロセ(株) 井上 茂樹氏| BiC(株) 高木 幸三郎氏»