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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2013年09月27日

株式会社アクア 執行役員

相良 範浩

プロジェクト・マネジメント(PM)業務、コンストラクション・マネジメント(CM)業務を専業とするアクア(東京都中央区、大谷龍則社長)。 その社名には、不透明だといわれている建設プロジェクトでの業務やコストの流れを「水」のように透明にしたいという思いが込められている。 執行役員事業本部長の相良範浩氏に、同社のPM・CM業務に対する基本理念や実際の事業状況などについて聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

“オールウイン”のプロジェクトを目指す

CMは技術的な中立性を保ちながら、発注者側の立場で設計段階での検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務を行う建設生産・管理システム。欧米で発展してきた方式で、ここ数年、日本でもCMを採用する案件が増えてきている。

同社が提供するCM業務の理念は「応分の負担と応分の利益」。その意味を相良氏は以下のように説明する。
「施工者や専門工事会社の受注金額を低く押さえ込んでコストを削減することに主眼を置いている案件が多く見受けられます。しかし、ゼネコンや下請け業者を締め付けてきた結果、企業が疲弊して職人の賃金も下がり、建設業に従事しようとする若者が少なくなってしまいました。私たちは施工者側に負担を押し付けるコストカッターではありません。事業主の利益とともにプロジェクトの様々な生産主体の適正な利益も守り、オールウインを目指しています」

同社の考えにマンション、オフィス、ホテルなどの事業主が賛同。15年間のCM業務の実績は600件を超え、工事費ベースでは3兆円近くなる。受注の99%が特命。ほとんどの顧客がリピーターとして同社に依頼するそうだ。建設会社も、同社のコンストラクション・マネジャー(CMR)が第三者の中立な立場で、発注者との調整役となるため、同社の参画を歓迎する。

建築設計・施工のプロフェッショナルたちが集結

社員の多くが建設会社や設計事務所の出身者で、意匠、構造、設備、施工管理などの専門分野での豊富な経験を有している。相良氏も、建設会社で10年以上にわたり構造設計に携わった。
「CMのノウハウは、自身の経験や技術、知識をどう生かすかというところにあります。設計段階で構造や設備、仕上げなどの過剰部分を省くなど、プロジェクトの川上からCMを導入した方が、より大きな効果が期待できます。高い専門スキルを備えた技術者が、建設会社や設計事務所と良好な関係を築き、事業を成功に導くのが当社の強みです」と自負する。

大規模修繕のCM業務に参入

東日本大震災後、労務費や資材価格の上昇を受け、事業主からプロジェクトの実施に必要なコストに関する問い合わせが急増。同社は、かねてより日々変化する材料費、労務費の実勢単価をデータベス化し、更新しているため、工事費の実勢価格の把握が可能で、原価の上昇幅に応じたアドバイスを行っている。
9月には、既存建物の大規模修繕に特化した関連会社「ARM」を設立。オープンブック方式によるCM業務に乗り出した。

「近年、CM業務に対するニーズが多様化してきました。半面、まだCMに対する社会的な理解は十分ではないと受け止めています。当社は、オンリーワンのCM専業会社として、市場での存在感をさらに高め、CMの認知度の向上に努めるとともに、私たちの仕事を通して技術開発、技術革新を誘発し、魅力ある産業に建設業が発展していくことに貢献したいと考えています。」(相良氏)
今後の建設業におけるCMの果たす役割とアクアの展開に注目したい。

【取材後記】
同社は1998年に独立系建設マネジメント会社として大阪に設立された。 2001年4月に日本コンストラクション・マネジメント協会(CM協会)が発足すると、協会運営に参加し、同年11月のCM協会関西支部の立ち上げに大谷社長らが尽力した。 設立から数年は大谷社長がCM協会の幹事を担当。現在はその職を相良氏が引き継いでいる。 2011年に本社を東京に移転。在京、在阪の大手不動産をはじめとする顧客からの要請で、ピュアCMを主とした業務を行っている。 一般的にCM専業では会社経営が難しいとされているが、同社はCMをフィービジネスとして成立させ、確実に業界での地歩を築き上げているようだ。

[了]

本社所在地:東京都中央区晴海1-8-8?晴海トリトンスクエア オフィスタワーW 15F
設立:1998年2月27日
資本金:3900万円
代表:大谷龍則
従業員数:63名(※関連会社含む)
事業内容:プロジェクトマネジメント(PM)・コンストラクションマネジメント(CM)/建物収益(NOI)改善提案業務

相良範浩(さがら・のりひろ)
1967年兵庫県生まれ
最終学歴:近畿大学 理工学部 建築学科
中堅ゼネコンで主に構造設計に従事し、平成15年にアクア入社
一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(CMAJ)関西支部幹事、関西支部法令部会委員、CMAJ企画運営委員会PR小委員会委員
出版物
「建築のプロが悩むCM法律問題Q&A」(大成出版社)
著者:弁護士 釜田佳孝
編著:一般社団法人 日本コンストラクション・マネジメント協会 関西支部法令部会
発行:一般社団法人 日本コンストラクション・マネジメント協

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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