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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2013年07月26日

株式会社天童木工 東京支店 設計課

佐藤 賢

高級木製家具のブランドで知られる天童木工(山形県天童市、加藤昌宏社長)。 日本で初めて成形合板技術を家具制作に採り入れ、1940年の創業以来、数々の名作を世に送り出してきた。 美と空間との調和を追求した作品は、御所をはじめ官公庁施設、オフィス、一般家庭に至るまで広く愛用されている。 東京支店設計課の佐藤賢氏に、同社の家具に対するこだわりや自身の仕事でのやりがいなどを聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

入社のきっかけは「バタフライスツール」

同社の家具づくりの特色は、建築家やプロダクトデザイナーとの協業。これまでに協業したデザイナーには丹下健三、黒川紀章、剣持勇、柳宗理、ブルーノ・マットソン(スウェーデン)ら、そうそうたる名が並ぶ。共同制作された特注品の多くは、規格品となっていまに受け継がれている。

佐藤氏の担当は、建築設計者が描いたラフなデザインを基に、荷重や安定性、機能などを検討し、図面化する仕事。「時には、構造的に難しいデザインや材質と価格とのバランスなど厳しい要求もありますが、可能な限りお客さま要望に応え、満足していただける家具を提供することに、やりがいを感じています」と日々の仕事への率直な思いを語る。

佐藤氏は、空間デザインを勉強していた学生時代に、柳宗理のデザインを特集したインテリア雑誌で、チョウが羽を広げて飛んでいるような形状の「バタフライスツール」を見て、そのメーカーが天童木工と知った。就職先にものづくりの会社を志望していた佐藤氏は同社に応募。大学を卒業した2003年に入社した。

営業経験を設計に活かす

最初の配属先は営業課。いずれは設計部門と思っていたが、顧客が求めているのは、どんなフォルム、質感の家具なのか、直接話を聞いてニーズをつかみたいと、自ら営業職を志願した。佐藤氏は、建築案件ごとに設計、建設に携わっている設計事務所や建設会社、ディーラーを訪ね、特注家具の設計・制作の受注営業に汗を流した。2008年、設計課に異動。「5年間営業を経験したおかげで、お客さまのラフなデザインから細部にわたる要望をくみ取り、設計事務所から修正指示があった場合も、なぜそのようにデザインを変更したいのか理解できるようになりました。お客さまの意図を十分に反映させ、できるだけ手戻りのない図面を描くことに注意を払っています」と自身に課した心構えを説明する。

入社10年目の決意

佐藤氏が設計する家具は、主にテーブルやカウンターなどの台物や、書棚、クローゼットなどの箱物で、著名企業のオフィスや公共施設の執務室、ロビーなどに採用されている。「工場は山形にあるため制作工程を見るのが難しい分、実際に形となって現場に納入された時の達成感は格別」とほおが緩む。

今年3月で、入社して丸10年がたった。この間、200件あまりのプロジェクトに携わってきたが、「様々な知識を蓄えていても、仕事のたびに新しい課題に直面しています」と佐藤氏。「特注品は単品生産で、案件ごとにお客さまの要求が異なります。一つ一つの仕事に真摯に取り組むこと自体が、これからの挑戦です」と気を引き締める。

【取材後記】
心がなごんだり、ちょっと贅沢な気分を味わわせてくれたりする家具。 それが天童木工の家具だ。 ぬくもりやあたたかみ、気品にみちた椅子やテーブルは、家具愛好家を魅了してやまない。 日本の伝統美や職人技を後世に継承し、世界に誇れる家具メーカーの一翼を担う佐藤氏のさらなる活躍に期待したい。

[了]

本社所在地:山形県天童市乱川1-3-10
設立:1940年6月12日
資本金:3億円
代表:取締役社長 加藤昌宏
事業内容:家具・インテリア用品の設計製造および販売/成形合板家具の設計および施工の請負/室内装飾の設計および施工の請負

佐藤 賢(さとう・まさる)
1981年 宮城県生まれ
2003年 東北工業大学工学部工業意匠学科卒業
同年、株式会社天童木工入社。東北支店営業課に配属
2004年 東京支店営業課に配属
2008年 東京支店設計課に配属、現在に至る

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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設計作業中の佐藤氏

天童工場(山形県)

東京ショールーム(浜松町)

会議用テーブル「T-9322TK-ST」

役員室用家具「T-7231WB-BL set」