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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2013年04月26日

株式会社長大 まちづくり推進部PPP推進部 部長

幸田 浩明

1999年9月にPFI法が施行されてから、まもなく14年。 この間、公共サービスの向上、財政再建などに有効な事業手法として累計で3兆円を超える規模の公共施設の整備にPFIが導入されている。 株式会社長大は、PFI法の施行にあわせ、建設コンサルタントとして蓄積してきた技術、ノウハウを、官民連携(PPP)による公共施設の整備を検討している発注者の支援業務に生かそうと、PPP推進部を設置した。 同部発足時からのメンバーの幸田浩明部長に、同社のPPP・PFIビジネスに対する取り組み方針を聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

PFI事業で業界2位の実績

幸田部長は「設計や工事に対価を支払う従来型の公共事業と違い、設計、建設、維持管理、運営のすべての業務を長期の契約としてゆだねるPFIは、要求性能を満たせば細かな手法を問わないため、同じ用途の施設でも解は一つではありません。その中から最適解を導くプロセスに、我々の業務のおもしろさがあります」という。

これまでに同社が携わったPFI事業は、病院・福祉施設、教育施設、学校給食センター、健康増進施設、庁舎、空港ターミナル、橋梁・道路など未実施案件を含め約120件を超える。同社の実績は、日本PFI・PPP協会のデータによると、業種全体で5位、建設コンサルタントでは2位になる。

「PPP推進部の部員は10人ですが、大学の研究職やアトリエ建築設計事務所からの転身者、文系出身者など多彩な顔ぶれです。事業全体のマネジメント、行政法への理解、資金調達やキャッシュフローの計画書の作成などにかかわる能力にたけた人材が集まっています」と幸田部長は、同部の特色を説明する。

強みは“建設コンサルタント”“建築設計”の両面アプローチ

PFIプロジェクトが増加する中、地場企業から「PFIの受注が中央の大手企業に偏っており、地場の中小企業でも参画できるようアドバイスしてほしい」という要望が寄せられるようになった。そこで、PPP推進部とは別途、民間企業の支援業務に特化したPPP開発部を立ち上げた。現在は、行政支援と民間応募者支援の二本立てで、地域完結型のPFI案件を主なターゲットに事業を展開している。さらに、自治体のPRE(公有不動産)戦略策定や、PRE戦略に基づいた地域活性化のコンサルティングへと事業の幅が広がっている。

もともと、土木分野の社会資本整備が中心だった同社が、建物やまちづくりなどの建築領域での業務を拡大している背景には、アルコム建築事業部の存在がある。2010年4月、日本建築学会賞をはじめとする数々の賞を受賞している建築設計事務所の株式会社アルコムと合併した。

「建設コンサルタントと建築設計の両面からのアプローチが当社の大きな強みとなり、PPP推進部が参画するPFI支援業務のプロポーザルなどで優位性を発揮できていると思います」と幸田部長はアルコムの統合効果を話す。

全社的に復興に取り組む

2011年3月の東日本大震災を受け、同社は同年6月に「東日本大震災からの復興に向けて−長大の知恵と技術、思いを集めて−」と題する提案を発表した。その中では、復興にむけたまちづくりの全体像や公共施設、ライフラインなどをPPPで整備するための事業スキームとともに、行政組織の効率化、利用者の利便性の向上、新市場形成などを実現するための民間ノウハウを活用した行政運営の事業スキームを提示した。

「この行政運営の事業スキームは、被災地の自治体にとどまらず、厳しい財政状況に置かれている全国の多くの自治体が、地方分権の進展や多様化する住民ニーズなどに応えていくための手法でもあります。今後、施設・まちづくりのPPPに加え、民間ノウハウ・資金を大胆に活用した行政運営支援の仕組みを提案していく考えです」。

【取材後記】
財政がひっ迫する中で、公共サービスの充実が求められている自治体。 一方、公共投資縮減政策の影響で、構造物の計画、設計を中心とした公共事業依存体質からの脱却が迫られている建設コンサルタント。 そのような状況下で、民間資金を活用したPPP・PFIによる社会資本の整備手法が導入された。 長大は、PFIの可能性に着目し、PFI事業を行おうとする自治体の支援業務を新しい事業領域として取り込んできた。 建設コンサルタントを取り巻く環境は、依然厳しいことに変わりはないが、PPP・PFIへの取り組みが、長大の企業価値を高めているのは間違いない。

[了]

本社所在地:東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目20番4号
設立:1968年2月21日
資本金:31億750万円
代表:代表取締役社長 永冶泰司
事業内容:コンサルタント事業(構造事業・道路事業・社会計画事業)/サービスプロバイダ事業/プロダクツ事業
会社HP:http://www.chodai.co.jp/

幸田浩明(こうだ・ひろあき)
1989年 長大入社
現在、社会事業本部まちづくり推進部PPP推進部 部長。46歳。
技術士(建設部門:建設環境)。
これまでに「筑波大学附属病院施設整備PFI事業導入可能性調査業務」「千葉県警察本部新庁舎建設等PFI事業アドバイザリー業務」「八千代市立萱田小学校分離新設校・総合生涯学習施設建設事業PFIアドバイザリー業務」など多数のPFI関連業務に従事。

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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