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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2013年03月29日

株式会社青木国工務店 代表取締役

青木 国

東京・葛飾の柴又帝釈天門前に本社を置く株式会社青木国工務店。 明治初期の創業から150年近い歴史を有し、設計・施工・監理の一貫体制による社寺建築で屈指の実績を誇る。 埼玉県吉川市と宮城県栗原市には、NC(数値制御駆動)機械やロボットを導入した木工業界、建築業界で随一の直営大型工場を保有し、原木の仕入、製材、加工も自社で行う。 設計図の寸法通りに継ぎ手や仕口などを加工して現場に供給し、施工の効率化を図っている。 要望に応じ仏像制作まで手がける。3代目の青木国社長に、同社の特色、ものづくりへの姿勢などを聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

明治初期から続く建築の名家

同社は、青木社長の祖父が茨城県で創業。水戸藩に仕えていた曾祖父が、同地で幕末から明治初期の廃仏毀釈によって多くの仏教寺院が破壊されたのを目の当たりにし、いずれは寺院を再興する時が来るだろうと、子どもを大工に弟子入りさせたのが始まりだそうだ。父の代の1925(大正14)年に現在地に移転。青木社長は、39年に同地で生まれた。

ラジオを組み立てたり、テレビの修理方法を考案したりするなど工作が好きな少年だった青木社長は、高校受験にあたり、王子工業高校の電気通信科に願書を提出。父も特に反対していない様子だった。

「ところが、父をよく知っている担任の先生が『あの親父さんのことだから、黙っていると思うけど、本当のところはどうなんだろうね』と尋ねるので、帰宅後、よくよく父の顔を見たら、何となく寂しそうな表情をしていました。翌日、先生に報告すると『やっぱり大工の家系なのだから、蔵前工業高校の建築科の方がいいんじゃないの』と勧められて、自分もその場でうなずき、願書を出し直したのです」。

55年、蔵前工業高校に進学。3代目への道が決まった。そして18歳の時、母の死を機に61歳で突然隠居を決めた父から家業を引き継いだ。

社寺建築に特化して技術を磨く

同社はもともと、社寺だけでなく住宅、店舗、工場など幅広く建築を手がけていたが、子どものころから大工の技を教え込まれてきた青木社長にとって、復員者が多かった当時の職人のレベルは物足りなく見え「技術を磨くには、特定の分野に集中した方が効果的」と、源流の社寺建築に特化することとした。

社寺建築の職人は一般的に宮大工≠ニ呼ばれるが、同社では宮大工という言葉を使っていない。その理由を「宮大工には、伝統の技に精通した神聖な職人というイメージがありますが、住宅や店舗などを建てる大工と比べ社寺建築に携わる大工のレベルが高いかというと、首をかしげてしまいます。社寺建築では、昔からのやり方にこだわり、効率性や新しい技術に無関心な大工が多々見受けられ、むしろ住宅の大工の方が、使い勝手やデザイン、効率を考えた仕事をしているように思えます。大切なのは、呼称ではなく親切心や真心のこもったものづくりの姿勢です」と説明する。

“内弟子制度”で、次世代に技を伝承

一方、「最近の若者は、言われたとおりに仕事はするけれど、自ら考え、創造しようとするプロ意識が希薄になっています。部材の制作を委託している中国の職人のレベルがどんどん高くなっており、ものづくりの分野で日本の地位が奪われつつあるような気がします」と懸念する。

昨年から、一人前の“ものづくり人”として、自立できるよう、3年間の内弟子制度を始めた。

「自ら月謝を払い、ものづくりの技を習得する場で、実際の社寺建築の設計・施工にも挑戦できます。必要なのは、気力、体力、根性、やる気。中途半端な気持ちではついて来られない、内容の濃い指導を行います。修了後は、希望すれば優先的に当社への入社が可能です」と、独自に未来への技の伝承、人材育成に取り組んでいる。

【取材後記】
150年にわたる実績と伝統の技、そして最新鋭設備による高度な製材・加工品質が同社の信頼を築き上げてきたが、 青木社長は、社寺建築の大工になろうとする若手のプロ意識の低さに歯がゆさを感じているようだ。 そこで、自分の創造を形にするものづくりの喜びを体得させ、真の職人を育成しようと内弟子制度を始めた。 社寺は日本が誇る伝統建築。ぜひプロの職人技を次世代に伝えてもらいたい。

[了]

本社所在地:東京都葛飾区柴又7-7-22
創業:1925年
設立:1985年
資本金:5000万円
代表:代表取締役 青木 国
事業内容:社寺建築の設計・施工・監理/原木の仕入れ・製材・加工
会社HP:http://www.aoki-kuni.co.jp/

青木 国(あおき・くに)
1939(昭和14)年東京生まれ
1959(昭和34)年蔵前工業高校建築科卒業
下の弟の功氏は、吉川工場長。末弟の義次氏は東京工業大学名誉教授

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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コンピューター制御により、高精度の加工を実現している(吉川工場=埼玉県吉川市)