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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2012年09月28日

株式会社竹中土木

市川 晃央

「造ったものを大勢の人に使っていただけること」。 (株)竹中土木の市川晃央さんは、土木の魅力をこう話す。 現在、技術・生産本部技術部課長として研究開発や現場・営業部門への技術支援などの業務に携わっている市川さんに、土木の道を志した理由、仕事の楽しさなどについて聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

郷里の発展を通じて知った“ものづくりの魅力”

1990年代の長野県では、1998年の冬季オリンピックの開催に向け長野新幹線、上信越自動車道を核に様々な社会資本整備が進められていた。同県佐久市で生まれ育った市川さんは、郷里が発展していく姿を目の当たりにしながら中学・高校時代を過ごした。「当時の日本は国全体が好景気に沸いていて、地元でも公共事業が盛んに行われていました。新幹線や高速道路の高架、山を貫通するトンネル、千曲川に架かる長大橋など、次々とできあがる構造物が地域の新しいシンボルとなり、それらが未来を照らしているような印象を受けました。土木関係の仕事をしている親戚がいることも刺激になって、高校生の時には建設業界でものづくりに携わりたいと考えていましたね」と土木を仕事に選んだ原点を振り返る。

大学では、志し通り土木環境工学を専攻。大学院博士前期課程を修了した2001年、竹中工務店グループの土木専業会社、竹中土木に入社した。「専業だからこそ、土木の醍醐味をより深く追求できるという期待がありました」と同社を志望した理由を話す。

業務と並行して研究に没頭、博士号を取得

1年間の研修期間を終え、技術研究所に配属。地盤改良と杭で構成される複合基礎工法などの研究開発に従事する傍ら、週末は学生時代に取り組んでいた研究をさらに突き詰めるため、2005年3月までの3年間、母校の博士後期課程に通学。多孔質堆積(たいせき)岩の時間的変形を考慮した応力測定理論を論文にまとめ博士号を取得した。

2007年2月から2010年3月まで大阪本店に転勤。最初の1年は、大阪市此花区大阪北港地区の人工島「夢洲」と、住之江区の大阪南港地区の人工島「咲洲」を結ぶ海底トンネル「夢咲トンネル」の夢洲側アプローチ部を築造するプロジェクトに従事した。臨海部の超若齢埋立地盤に開削工法による大断面ボックスカルバートを構築する難工事だったが、情報化施工による土留挙動の管理など市川さんが研究所時代に経験した一連の技術を生かすことで、効率的で精度の高い施工が可能となった。

「自分が開発した技術が実際の工事で役だったり、施工中の課題を解決するための提案が功を奏したりしたときの達成感と充実感は格別」と市川さんはいう。

社会資産づくりへのさらなる貢献を目指す

2010年4月から本社の技術・生産本部に配属。現在、現場・営業部門への技術的サポート、技術開発、開発技術のPRなど幅広い業務を担当している。最近開発した技術の一例は、ボックスカルバートやトンネルなどのコンクリート構造体の養生管理システム。最適な養生温度をジェットヒーターでアクティブ制御し、タブレットで24時間遠隔管理することで高いコンクリート品質を確保できるのが特徴。本システムはNEXCO西日本の工事において効果を確認しているとのこと。

また昨年の東日本大震災で、住宅地の液状化が大きな社会問題となったのを受け、設備の小型化や性能設計思想に基づく対策範囲の最小化などによりコストを抑えた個人住宅向けの液状化対策工法の実用化を急いでいる。

「人々の暮らしになくてはならない社会インフラをつくるのが土木の仕事です。そして造ったものを大勢の人に使っていただけるのが土木の魅力です。当社がもっと社会資産づくりに貢献できるよう、総合評価方式での発注者の要求を的確に読み取り、最適な技術を提案することで受注を伸ばしたいと考えています」と自らに課した当面の課題を述べながら、「得意分野の技術にさらに磨きをかけたり、大きなプロジェクトの工事に参画したり、やりたいことはまだまだたくさんあります」と目を輝かせる。

【取材後記】
竹中工務店グループが掲げる「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念。 竹中土木もグループ企業として常に作品主義を貫き、高品質を心がけた事業を展開している。 作品の質の高さを実現するのは、緻密な研究よって開発された様々な技術だ。 市川さんのたゆみない研究心や現場への熱意は、今後も優れた技術を生み出し、未来の社会資産となる作品づくりを支えていくことだろう。

[了]

会社概要
本社所在地:東京都江東区新砂一丁目1番1号
設立:1941年6月25日
代表:取締役社長 竹中 康一
資本金:70億円(2012年4月現在)
売上高:591億円(2011年度)
事業内容:土木工事及び建築工事の請負、設計及び監理/不動産関連業務/地域・都市・海洋開発及び環境整備事業/各号の業務に係わるエンジニアリング、マネジメント及びコンサルティング業務 /前各号に付帯する業務
会社HP:http://www.takenaka-doboku.co.jp/

プロフィール
市川晃央(いちかわ・あきお) 1976年長野県生まれ
2001年山梨大学大学院博士前期課程修了、竹中土木入社
2002年技術本部竹中技術研究所
2005年山梨大学大学院博士後期課程修了
2007年大阪本店大阪港夢洲トンネル夢洲側アプローチ部(Y2工区)築造工事作業所
2008年大阪本店工事部技術グループ
2010年技術・生産本部技術部
博士(工学)、技術士(建設部門)

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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複合基礎工法の概要

コンクリート養生管理システムの概要

夢洲トンネル夢洲側アプローチ部築造工事の様子

完成時

社会人講師活用型支援プロジェクトとして大阪商工会議所と大阪市教育委員会が実施する「理科大好きなにわっ子∴逅ャ事業」で講師を務める市川さん。市内の小学生に液状化や津波の発生するメカニズムをわかりやすく説明しながら、土木の楽しさを伝える。