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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2012年04月27日

株式会社パスコ 基幹業務部 部長

川久保 雄介

この10年あまりの間に、公共事業を中心にした従来型の航空測量会社から空間情報事業者へと変ぼうを遂げた(株)パスコ。 世界最高レベルの空間情報の収集技術と分析、加工・処理技術を武器に新たな空間情報サービスを生み出し収益基盤を固めながら、グローバルにネットワークを広げている。 人材開発・教育、総務、社内情報システム系部門を総括する基幹業務部の川久保雄介部長に、「常に世界一の空間情報事業者であり続けること」を目指す同社のビジネスモデルと、 成長軌道を支える人材の確保・育成への取り組みを聞いた。
取材・構成/日刊建設工業新聞

民間への参入で事業の再構築に成功

(株) パスコは、1999年にセコム(株)の資本を得ると、それまでに国や地方自治体向けの事業で培った実績とノウハウを最大限に活かした事業の再構築に乗り出した。まず着手したのが、民間市場への参入。出店計画、商圏分析、最適配送ルート選定、事業継続計画の策定などに位置情報やエリア情報などの空間的な分析・解析手法を取り入れたサービスを開始した。

公共予算が減少する中、新しい測量技術やユビキタス技術、WEBGIS技術を取り入れ新しいニーズの掘り起こしに努めた。さらに、人工衛星の情報収集能力を引き出し、航空測量で培った分析。解析技術を加え環境や防災分野に向けた空間情報サービスを立ち上げた。海外諸国に向けては、開発途上国を中心にNSDI(国土空間データ基盤)構築ニーズへの対応を強化し、地球温暖化対策のため世界の森林量の計測にも取り組み、グローバル展開を本格化させた。

厳しい環境下ながら5期連続して増収増益!

川久保部長は自社の強みといまの事業状況をこう説明する。「業務量全体に屋台骨である公共系事業の占める割合は多いけれど、民間、衛星、海外の各事業が柱として成長してきました。空間データの計測・収集だけでなく、そのデータを分析処理して様々なニーズに応えた情報サービスを事業として成立させている会社は少ないと思います。公共予算の縮減、リーマンショックなど企業を取り巻く環境は厳しいものがありましたが、当社は5期連続して増収、増益となっています」

人材にかける想い

再建を遂げたいま、名実ともに空間情報をリードする世界一の企業グループとしての地歩を固め、事業の拡大と継続的な成長を実現するために、基幹業務部が力を入れているのが、多様な人材の確保と育成だ。昨年度は新卒で30人、キャリアで50人を採用した。それでも、まだ人材的に不足気味という。

「新卒採用者は、どんな業務につくにせよ配属前に2カ月間余り測量現場を経験させています」と、多様な人材を求めつつも、その原点は測量にあると強調する。

一方、キャリア採用で求めている人材は、測量やGISの技術者だけでなく、情報システムの開発や、人工衛星の運用技術者、民間営業経験者など多岐に渡る。川久保部長は「異業種からの転職者の新たな血が交わることで、従来の枠組みでは思いつかなかった発想で技術、サービスを生み出してほしい」と期待する。

【取材後記】
同社のエントランスには「WORLD’S LEADING GEOSPETIAL GROUP」と記されたプレートがある。 地理空間情報で世界のリーディンググループであることを宣言したものだ。 川久保部長が語る事業展開や人材開発の方針から、同社グループが国内外で存在価値をさらに高め、飛躍していく姿をかいま見た。

[了]

株式会社 パスコ
本社所在地:東京都目黒区東山1-1-2 東山ビル
創業:1953年10月 
資本金:87億5848万円(2011年3月31日現在)
代表:代表取締役社長 杉本陽一
事業内容:地理空間情報の収集/加工・処理・解析/提供
会社HP:http://www.pasco.co.jp/

川久保雄介(かわくぼ・ゆうすけ)
1981年早稲田大学教育学部地学専修卒、パシフィック航業株式会社(現株式会社パスコ)入社。
測量技術、営業、企画部署を経て、人材開発・教育、総務、社内情報システム部門の統括責任者として、2009年基幹業務部部長に就任

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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