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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2011年07月29日

強化土エンジニヤリング株式会社 代表取締役専務

島田 励介

地盤強化工法に特化した研究開発企業の強化土エンジニヤリング株式会社(東京都文京区)。 従来、建設現場の止水など仮設工事に使われてきたグラウト(薬液注入)の領域で、半永久的に脆弱な地盤を安定化させる恒久グラウトの新市場を切り開いた本設注入工法のパイオニアだ。 東日本大震災で液状化が顕著だった地域でも、本設注入工法で改良された地盤は、目立った被害が無く、その効果が実証された。 今回は、同社代表取締役専務の島田励介氏に、薬液注入分野における同社の役割、研究開発への取り組み方針、今後の展開などを伺った。
取材・構成/日刊建設工業新聞

3Cで技術開発と新市場を開拓

強化土エンジニヤリングは、69年に島田専務の父の島田俊介氏が創業。以来、創造(クリエイティブ)・挑戦(チャレンジ)・連携(コラボレーション)の3Cをキーワードに「継続こそ力なり」を企業理念に掲げ、産学協同研究、異業種共同研究などを通して、地盤強化分野での技術革新と新市場の創造に取り組んできた。

これまでに取得した特許数は国内延べ400件以上、海外延べ200件以上、関連技術の契約会社は延べ250社、施工実績は10万件以上を数える。

俊介氏は現在、強化土エンジニヤリングの実質的経営を小山忠雄社長、島田専務らに委ねる傍ら、同社内の強化土研究所の所長、グループ会社の強化土株式会社の社長として、研究開発指導や特許取得など知的財産業務の支援を行っている。

恒久グラウトのパイオニア

同社の最大の研究成果は、恒久グラウト・本設注入工法の実用化だ。もともと薬液注入工法は、地下鉄、下水道、鉄道などの掘削工事での一時的な地盤改良や止水を目的としていたが、80年から東洋大学米倉研究室と共同で、液状化対策や護岸の耐震補強などへの適用を目指した薬液注入の長期耐久性の研究を開始。以降、各種恒久グラウト材や急速浸透注入工法などの開発に成功し、95年の阪神大震災の復旧工事で本設注入工法として本格採用された。

97年に恒久グラウトの実施権所有会社と恒久グラウト協会(現:地盤注入開発機構恒久グラウト・本設注入協会)を組織。毎年、発注者や建設コンサルタント向けに技術研究発表会を開催するなど工法の普及を図ってきた結果、本設工事としての有効性に対する理解が深まり、阪神大震災後の15年間で注入実績は、700件以上、2億リットル以上に達した。その間の02年度には、地盤工学会の技術開発賞(「恒久グラウトと注入技術」=米倉亮三・島田俊介)を受賞している。

島田専務は「継続して研究してきたことが、一番の優位性。40年以上にわたって地盤強化工法を研究し続け、長期耐久性の検証期間も25年を越えた。多数の実績の経験から本設注入が互いに関連しあう恒久グラウト材、施工法、環境保全性と試験研究機能からなる統合技術として確立する事が出来た。本設注入工法の先駆けだからこそ、そのノウハウと長期の実証データが当社には蓄積されている」と自負しながら「研究開発からコンサルティング業務までの一貫体制を構築し、本設注入市場の発展に努力していく」と今後の企業活動の考えを示す。

実証データに裏付けられた最適工法提示

同社では、地盤ごとに最適な本設注入工法で施工するため、試験研究機能、データ集積機能、コンサル機能を備えた本設注入試験センターを設置。実際の工事場所の土を採取して配合設計を行い、室内試験で施工後に所定の液状化強度を永続的に得られることを確認したうえで、発注者や施工会社に配合案を提示する。

「東日本大震災でも、恒久グラウト材を用いた本設注入工法で施工された地盤の液状化は確認されている限りでは皆無で、理論と試験結果の正しさが立証された。これを踏まえ液状化対策に有効な工法として提案し、安全、安心な社会インフラづくりに貢献していきたい」と島田専務は話す。

継続こそが企業、個人の力に

いま同社の技術開発の中核を担っているのは、40歳以下の若手研究者。「研究者には、常に自分なりの研究課題を持ち、ひらめいたら研究を始めるような心構えでいてほしい。経営側としても、積極的にリーダーとして抜てきしたり、土木学会、地盤工学会への論文投稿や大会での論文発表、技術士資格、学位の取得などを支援したりして、その工法の第一人者となるよう育成に努めていく」と将来を担う研究者への期待を語る。

研究開発、知的財産権の取得への費用は惜しまないのが同社の基本方針。中には、長年成果が出ていないが、いつかはモノになると信じて、継続している研究もあるという。

「途中であきらめたら、そこで終わり。継続こそ力を理念に、無から有を生み出してきたからこそ、グループ全体で20人程度の会社でも独自の地歩を築けたと思う。技術開発に終着点はない。同様に会社も個人も研さんし、成長し続けることが重要で、公共投資の減少などで事業環境は厳しいが、地盤注入工法の領域で国内随一の会社、一番の研究者になるんだという気概を持って社員ともども、会社をもり立てていきたい」。

【取材後記】
「土を強化する」。 社名そのものがずばり、同社の事業内容だ。 従来、仮設工事に限られていた薬液注入工法の本設工事への適用可能性に着目。 産学協同研究により、恒久グラウト・本設注入工法の技術を業界に先駆けて確立した。 最近も産学協同で、微生物の働きで分解されるバイオパイプや産業副産品を用いた可塑状ゲル圧入工法など環境保全型注入技術を開発し、時代のニーズに応えた技術を提供している。 目には見えない土の中と同様、表だって社名が出ることは少ないが、地盤改良の技術基盤を実質的に支えている業界各社が一目置く会社なのだ。

[了]

強化土エンジニヤリング株式会社
本社所在地:東京都文京区本郷3-15-1
設立:1969年
企業ホームページhttp://www.kyokado-eng.com/

島田励介(しまだ・れいすけ)
1965年 三重県生まれ
2008年 強化土エンジニヤリング(株)入社
2009年 専務取締役就任

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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