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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2011年03月25日

株式会社神戸車輌製作所 代表取締役

神戸 芳昭

下町情緒が漂う東京都江東区の一角に本社・工場を構える神戸(かんべ)車輌製作所。 建設現場や産業施設向け小型運搬車専門メーカーで、創業は1923年までさかのぼる。 90年近い歴史のある同社の神戸芳昭社長に、老舗ならではの製品開発への取り組み状況を伺った。
取材・構成/日刊建設工業新聞

建設現場向け小型運搬車両の草分け

神戸車輌製作所の原点は、自転車修理。昭和初期には『スター』という自社ブランドの自転車も売り出した。同時に通称猫車≠ナ知られる手押し車やバケット車の製造も開始し、建設現場、軍事施設などとの取引を拡大していった。ゼネコンの中には、当時から取引している会社も多く、現在でも建設業界における同社の知名度は高い。

戦後は小型運搬車に特化したメーカーとして再出発。1951年に“神戸商店”から“神戸車輌製作所”に社名を変更した。終戦翌年の1946年にリヤカー業界、ゴム車輪業界、軽車両業界、農機具業界が集まって現在の日本運搬車両機器協会の源流となる「小型車輌協議会」を設立したのにちなみ、業界内には“車輌”がついた会社が多いという。

現社長・神戸芳昭氏は2代目。父親から社長を引き継いで以来、34年になる。2011年4月期の業績は、2008年秋のリーマンショックなどの影響で落ち込んでいた設備投資が回復基調に転じたことから、前期比10%強の増加となった。

「建設投資が停滞する中で、一般産業分野にも力を入れてきたことが功を奏した」と神戸社長は分析する。従来は売上高の7〜8割が建設関連業界だったが、現在は4割近くを一般産業分野が占めるに至り、将来的には建設分野との比率を半々にしたい考えだ。

独創的な製品と町工場ならではの柔軟な対応力で顧客を堅持

しかし、建設市場、一般産業市場とも依然、厳しい競争にさらされていることに変わりはない。同種の商品であれば当然、低価格が条件となり、市場在庫が膨らめば、取引は停滞する。

同社は、安全性、利便性の高いオリジナル製品の開発や規格外サイズ製品の製造、小ロットでのオーダーメードなど小規模会社ならではの柔軟な対応力で既存取引先との良好な関係の維持継続、新規顧客の開拓に取り組んでいる。

いま建設業界に向けて売り込み中の製品の一つは、材料、部品、工具などを整理する現場物置用可動式ラックの『かんたん棚』だ。作業場まで棚ごと移動できるほか、未使用時には折り畳んで積み重ね保管が可能になっている。

現場では従来、足場材に棚板を取り付けて整理棚として使っているケースが一般的だが、棚を移動させにくく、撤去時には構成部材を一つ一つ取り外す手間がかかるなど、実際には多くの不便があり、昨年の発売以来、販売数も順調だ。

オーダーメード製品の例では、ホームに設置されたごみ箱からごみを回収して所定場所まで運ぶ『走行装置付き電動運搬車』をJR東海に納入。乗降客が非常に多く、一日に何度もごみ箱の清掃が必要な東海道新幹線の東京駅と品川駅で稼働し、作業員の負担軽減や、ごみ処理作業の効率化を実現している。

最近、業界で初めて制動ブレーキを備えた360度方向に動く自在キャスターを実用化した。どの方向を向いていてもレバーを握れば速度を制御しながら動かせる車輪で、特許申請中。

建設現場では数百キロもの資材を積載したバケット車を作業員が前後でサポートしながら移動させているが、スロープでは下側の作業員がバケットを支えきれず、事故になるおそれがあるという。先ごろ、制動ブレーキ付き自在キャスターの開発を知った大手ゼネコンの安全担当者が、同社の工場を視察。ガラ箱などの運搬車両に取り付ければ、現場での安全確保に一役買う商品として注目を集めそうだ。

来年は二男が3代目社長に

神戸社長は、来年古希を迎えるのを機に、二男で現専務取締役の栄治氏に社長を譲る考えを述べながら「小型運搬車両業界は将来的に、どんどん集約されていくと思う。そんな淘汰の時代にあって、モノづくり色を高め、独創性のある会社としての地歩を強固にしてほしい」と3代目への期待を語る。

【取材後記】
日本のモノづくりを根底で支えている町工場。 車両や台車などの供給を通し、建設業という大きなモノづくりの一端を担っているのが神戸車輌製作所の製品だ。 下町の小さな工場で考案された製品が、単純作業でありながら常に危険が潜んでいる建設現場での資機材運搬の効率化、作業員の安全確保に貢献する。 再来年で創業90年になる老舗のモノづくりへのこだわりと誇りを見た。

[了]

株式会社 神戸車輌製作所
本社所在地:東京都江東区千田17番13号
創立:1923年12月
設立:1951年12月
資本金:2,700万円
事業内容:
1.土木・建設現場用運搬車、製造
2.一般工場向、各種運搬車及び周辺機器、製造
3.配管用製作架台及び周辺機器、製造
会社HP:http://business4.plala.or.jp/kanbe/index.htm

神戸 芳昭(かんべ・よしあき)
1965年日本大学経済学部卒、(株)神戸車輌製作所入社
1970年資材購買課長
1975年取締役営業本部長
1977年代表取締役、現在に至る。

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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オリジナル商品の一つ可動式ラック「かんたん棚」。

折りたたみ式で積み重ねできるため未使用時のスペースも有効活用にも。

新幹線のゴミ回収に採用された「走行装置付電動運搬車」。

大手ゼネコンも注目の360度方向に動く自在キャスター「SJDBユニット」。

こちらは「SJDBユニット」にガラ箱を搭載した例。

江東区にある本社。1階が生産工場になっている。