• HOME
  • (株)長谷工リフォーム 営業開発部 主幹 西條忠彦氏
「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2011年02月25日

株式会社長谷工リフォーム 営業開発部 主幹

西條 忠彦

長谷工グループが組織する建物診断のエキスパートチーム『住優師』。 名前の由来は、戦国武将の真田幸村に仕えたと伝えられる“真田十勇士”。 住まいに優しい技術者の専門部隊をイメージして命名された。 『住優師』は、2001年11月に(株)長谷工コーポレーションのリフォーム事業強化策の一環として発足し、現在はグループ会社として2010年4月に設立された(株)長谷工リフォームに所属。 これまでに建物診断を実施したマンションは900件を超える。 現在3人いる『住優師』の一人、西條忠彦氏(長谷工リフォーム東京支店営業開発部主幹)は、当初からのメンバーでまさに建物診断の達人だ。
取材・構成/日刊建設工業新聞

新築・リフォーム工事の経験、知識が不可欠

西條氏が『住優師』の仕事に携わって2010年で10年。目視、打診、触診を基本に、機器を使用したコンクリート中性化の有無、給水管内部の調査など建物の劣化状況を無料で診断する。

リフォーム工事や管理業務の受注につなげるという狙いはあるが、的確で中立、公正な判断が要求される。そのため『住優師』には新築・リフォーム工事での経験、知識が不可欠。長谷工コーポレーションが『住優師』を立ち上げた際、白羽の矢がたったのが、長年現場所長として新築マンション工事で指揮を執ってきた現場一筋の西條氏だった。

『住優師』は当初、長谷工コーポレーションのリフォーム工事部に所属し、3人2組のキャラバン隊を編成して共用部の建物無料診断のほか、専有部の網戸の張り替え、レンジフードの清掃などの有料の簡易修繕サービスも行っていた。

プロボクサーの内藤大助選手も、実兄が02年に『住優師』になった縁で03年から1年間、在籍。仕事帰りにジムに通い、後に世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者の栄冠を勝ち取った。実兄はいまも現役『住優師』だ。

ストック事業を加速する長谷工グループ

長谷工グループは、既築マンションを対象にしたストック事業をさらに加速させるため、2010年7月に、長谷工コーポレーションと長谷工コミュニティの新築マンションおよび既築マンションに携わり豊富な経験を持つ社員を、長谷工リフォームに投入した。それにあわせ『住優師』も同社に移り、最前線の重要な営業ツールという位置づけで、建物無料診断を実施している。

長谷工コーポレーションがこれまでに施工した新築分譲マンションは、全国の約1割に相当する約50万戸に達する。また、長谷工コミュニティを含むグループ3社が管理している既築マンションは約27万戸。西條氏は「長谷工グループが関わる全てのマンションがターゲット。建物診断の結果をふまえ、ムリ・ムラのないリフォームプランの提案に結びつけることが、我々『住優師』に課せられた使命」という。

『住優師』は、基本的に1日で診断メニューを実施。2週間ほどで結果を報告書にまとめ、概ね1カ月以内に管理組合向けの説明会を開催する。報告書は、建物の劣化状況や文献による劣化度の判定とともに、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインの修繕項目に沿って修繕の必要性を所見にて記載している。

2010年4月〜2011年1月の無料診断実施件数は約90件。そのうち複数の物件で実際の大規模修繕工事に結びついた。「診断結果を管理組合に報告し、大規模修繕の必要性を理解していただいて、当社が工事を受注できたときは、お役に立てたという喜びと達成感を味わえます」と西條氏は話す。

長谷工のブランド力で新規顧客を掘り起こす

長谷工リフォームは昨年夏、築年数が8年〜36年を迎える長谷工コーポレーション施工の約1400の管理組合へダイレクトメールを送付。“住優師の建物無料診断”のパンフレットも同封したところ、ピーク時には週に2、3件の診断依頼があり、3人の『住優師』はフル稼働だった。

今年は前回同様の1400管理組合に加え、他社施工・他社管理・築年数35年以上の約500の管理組合へDMを打つ方針だが、大きな反響が予想されるため「もう2人くらい増やしてほしい」と本音も。

「10年前と比べ、大規模修繕に関する本やニュースが多くなった影響で、管理組合も興味を持ちだしました。マンションを“終(つい)の棲家(すみか)”と意識している居住者が多いほど、修繕に対する関心も活発化します。マンションの永住志向が高まっている今日、将来的な改修や大規模修繕のニーズ拡大も期待できます。長谷工のブランド力を強みに、新規顧客を掘り起こしていきたいですね」。そう語る表情から『住優師』のリーダーらしい意気込みが伝わってきた。

【取材後記】
国土交通省が2010年5月21日に発表した資料によると、2009年末時点での分譲マンションストック戸数の推計値は約562万戸。 ストックの増加に伴ってマンション管理、大規模修繕の市場も活発化しており、建物の劣化状況などを適正に診断できる技術者の雇用ニーズも上昇している。 長谷工コーポレーションがこれまでに施工した分譲マンションの戸数は、全ストックの約10%に相当し、首都圏、近畿圏に限れば約20%のシェアを占める。 順次、これらの膨大なマンションが修繕時期を迎えていく。長谷工リフォームのビジネスチャンスの可能性は大きく、営業の先陣を切る『住優師』の役目はますます高まりそうだ。

[了]

株式会社長谷工リフォーム
本社所在地:東京都港区芝ニ丁目31番15号 北海芝ビル
設立:2010年4月1日
資本金:3億円
代表取締役:三井啓太郎
事業内容:リフォーム事業
会社HP:http://www.haseko.co.jp/

西條 忠彦(さいじょう・ただひこ)
1954年8月1日 東京都生まれ
1977年 東海大学工学部建築学科卒
1987年7月 (株)長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社
1998年4月 (株)長谷工リフォーム主幹、現在に至る

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

« 関東建設工業(株) 高橋 君明氏 | 共同カイテック(株)吉田稔氏»

建設WALKERエージェント─建設業界、一人で迷っている人へ─専任アドバイザーが転職活動を徹底支援!サイト掲載前の非公開求人情報も豊富です!

西條氏率いる『住優師』の精鋭たち

コンクリートの中性化の深度を調査中

建物外壁の塗装膜の付着強度を測る

屋上防水のひび割れ、浮き等の調査は目視で行う

調査・診断完了後の報告会