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「働く」建設WALKER×日刊建設工業新聞社

2011年01月21日

関東建設工業株式会社 代表取締役社長

高橋 君明

建設・不動産、投資開発事業を手がける関東建設工業株式会社(群馬県太田市)を中核に、建材、廃棄物処理、アグリ(農業)など多角的に事業を展開するカンケングループ。 建設投資が低迷している中でも、関東周辺地域に事業エリアを拡大するとともに、中国、ベトナムなど海外にも果敢に進出。 一代で年間売上高500億円を超える企業グループを築いた同社・高橋君明社長に、グループの経営方針についてお話を伺った。
取材・構成/日刊建設工業新聞

──公共投資の大幅減少、民間設備投資の抑制、少ない案件をめぐる価格競争の激化など厳しい状況が続いています。こうした状況下でも、カンケングループが安定して成長を続けていくために、どのような経営戦略を立てていますか。

一つは、営業網の面的拡大と地域での事業基盤の確立です。北関東を中心に首都圏、福島、長野、新潟、静岡へと営業ネットワークを広げるかたわら大協建設、神田工務店、江田組など地場の有力ゼネコンをM&A(合併・買収)でグループ傘下に組み込み、それぞれの会社が得意としている地域の事業をさらに強化しています。

一方、国内の建設マーケットが縮小している今日、グローバルな事業展開が必要となるでしょう。当社は、同規模の会社の中ではいち早く中国市場に進出し、現在、大連と上海に現地法人を、この2カ所と天津、蘇州の4カ所に事務所を設置しています。

顧客はほとんどが日系企業で、電機、自動車、石油化学関連の工場、プラントなどの建設工事を受注しています。またベトナム、ラオスにも事務所を設けており、海外事業の売り上げは建設事業全体の1割以上を占めています。海外事業部門には、大手ゼネコンで海外プロジェクトの実績を積んできた社員が多く、人材的にも豊富です。

──建設業以外の事業も幅広く行っていますね。

川上の不動産関連事業、川下のリサイクル事業、アグリ事業など静脈産業の拡充も経営戦略上、重要な柱と位置づけています。ショッピングモール、店舗、工場、倉庫、オフィスビル、寮、マンションなど自社開発型の不動産事業による賃貸収入は、建設事業での利益率が低下している近年、経営的に大きく貢献しています。

ショッピングモールでは、総面積約5万2000坪にも及ぶ土地をシネマコンプレックス、物販店舗、スーパー銭湯、ボウリング場、カラオケスタジオなどをテナントとする大規模アミューズメント施設に再開発する『カンケンプラザWOW』がその代表例です。96年4月以来4期までがオープンし、現在、第5期の拡張を進めているところです。

また店舗事業では、ヤマダ電機、スーパービバホーム、ベルク、イオンなど全国的に知名度のある様々な量販店や小売業に当社の設計施工で建設した建物を提供しています。

── 川下分野についてはいかがでしょうか。

グループ会社のイズム鉱業が保有する採石場跡地を活用した中間処理事業、一般廃棄物最終処理事業を行っています。イズム鉱業も、事業領域の拡大を狙いM&Aで傘下におさめた会社で、従来、砂利、砂、石材の採掘、砕石、アスファルトコンクリートを製造販売していますが、ヴァージン製品とは別に、鉱滓(こうさい)を原材料にした路盤材など廃材を再資源化して商品にするリサイクル事業も進めています。

循環型社会の実現に企業として貢献していくために、いずれ建築工事、土木工事で発生する廃材すべてを再利用する考えです。アグリ事業も、リサイクル事業の一環で、食物などの有機残さをリサイクルした肥料を使い、生産した農作物を有機残さの排出元に引き取ってもらうビジネスモデルを提案しています。アグリ事業は、日本の食料自給率の向上、減反政策で荒廃した国土の育成という面でも有意義だと思います。

──営業網、事業領域の拡大に伴い、高い価格競争力や生産性の確保、人材の育成も重要だと思われます。

当社は建材の調達から施工までのグループネットワークという強みがあり、他社と比べて一人ひとりの生産性も高く、全国的に営業展開している中堅ゼネコンや地域に根を張る地場ゼネコンと十分渡り合える価格競争力を備えていると思います。

当社には、道元禅師の言葉である弁道向上≠ノちなみ『素心弁道塾』と名付けた研修所があり、グループ会社、協力会社を含め社員教育には費用を惜しまずに投資しています。弁道場での研修で、社員も経営者の考えや経営施策を理解し、目標の実現に一丸となって向かっていくという意識を共有することによって、高い生産性の醸成を図っています。

【取材後記】
高橋社長が考える企業の責任者に必要な能力とは「時間を大切にし玉石・真贋(しんがん)を見分ける目」「将来を洞察しリスクを伴う意思決定をする力」「怠惰な自己との戦い」。 この経営哲学の実践こそが、カンケングループ発展の源泉なのだろう。 立志伝中の人である高橋社長には企業、学校、役所、団体などから講演の依頼が多く、先日も地元の県立高校で経営論や人生観を熱弁し、その中で自身の思想、哲学を大学づくりやシベリアでの農業といった形で残したいと語った高橋社長。 まだまだ夢は尽きないようだ。

[了]

関東建設工業株式会社
本社所在地:群馬県太田市別所町332
設立:1972年5月
資本金:4億9800万円
営業品目:
1. 総合建設業(土木工事、建築工事、舗装工事、管工事、水道施設工事)
2. 宅地建物取引業
3. 一級建築士事務所
4. プレハブ住宅
5. 建築資材、設備機器類の販売
6. 損害保険、生命保険代理業
7. 砂利・砂・アスコン・建材の製造販売、再生砕石・再生アスコンの 製造販売
グループ会社:
カンケン興産株式会社、カンケンインターナショナル株式会社、株式会社カンケン、有限会社大成アグリ、大協建設株式会社、イズム鉱業株式会社、株式会社江田組、関東建設(中国)有限公司、関東建設(上海)有限公司、Kanto Vietnam Construction Co.,LTD

高橋 君明(たかはし・きみあき)
1941年1月13日群馬県生まれ
1959年群馬県立佐波農業高校卒、農業に従事
1972年関東建設工業株式会社設立、代表取締役就任
現在、太田商工会議所副会頭、(社)群馬県建設業協会理事

※記事中のデータ、人物の所属・役職は掲載当時のものです。

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自社研修所『素心弁道塾』での研修風景

高校生を前に職業講話を行う高橋社長

ヤマダ電機瀋陽店

三菱電機大連機器

『カンケンプラザWOW』(群馬県太田市)敷地面積約5万2000坪 ※第5期計画を含む