建築系の転職で「よくある後悔」5選

―― 経験者ほど陥りやすい落とし穴とは
建築系専門職の転職では、「経験があるから大丈夫」と思っていたはずなのに、入社後に違和感を抱くケースが少なくありません。設計、監理、PM、技術系――職種名は同じでも、会社によって業務の中身や期待される役割は大きく異なるのが建築業界の特徴です。
実際、転職後の後悔はスキル不足ではなく、事前に想像していた仕事像と、実態とのズレから生まれることがほとんどです。本記事では、建築系の転職においてよく聞かれる「後悔」を5つに整理し、その背景と回避のヒントを紹介します。

後悔①:「設計がしたい」で入ったのに、思っていた設計ができなかった

転職理由として多いのが「もっと設計に関わりたい」という動機です。設計者やCADオペレーターとして実務経験を積んできた人ほど、そう感じて転職を考える傾向があります。しかし入社後、実際にはクライアント対応や社内調整、工程管理が中心となり、「図面に触る時間がほとんどない」と感じる人は少なくありません。
これは珍しい話ではありません。経験者ほど、組織からは“描く人”ではなく“まとめる人”として期待されやすくなります。また、「設計」の範囲自体が会社ごとに異なり、基本計画から実施設計まで一貫して関われるケースもあれば、特定フェーズに限定されることもあります。
回避のためには、

  • どの工程にどれくらい関わるのか
  • 自分の主な役割は「検討」「作図」「調整」のどれか

を具体的に確認することが重要です。

後悔②:安定や知名度を重視した結果、仕事の幅が広がらなかった

「安定していそう」「名前を聞いたことがある」という理由で会社を選び、後から「やる仕事がずっと同じ」「用途や案件が固定されている」と感じるケースも多くあります。
資本系や大手組織では、品質や効率を重視した役割分担と標準化が進んでおり、専門性を深めやすい一方で、経験領域が限定されやすい傾向があります。3年、5年と働くうちに、その環境では当たり前のスキルが、他社では評価されにくいことに気づくこともあります。
判断の際は、「この会社で積む経験は、別の環境でも再現できるか」という視点を持つことが重要です。

後悔③:BIM・専門分野の“専任要員”になってしまった

BIM、法規、申請、特定用途――こうした専門性を評価されるのは良いことですが、それが固定化し、キャリアの幅を狭めてしまうケースもあります。
人材不足の現場では、「できる人に任せ続ける」構造が生まれがちです。その結果、全体設計やプロジェクト統括に関わる機会が少なくなり、後から「もっと広く経験しておけばよかった」と感じることがあります。
専門性は強みですが、

  • その役割はいつまで続くのか
  • 将来的にどんなポジションにつながるのか

を意識的に確認しておくことが大切です。

後悔④:年収や条件は良くなったが、成長実感がなくなった

転職で待遇が改善する一方、「判断する機会が減った」「挑戦が少なくなった」と感じる人もいます。組織として成熟している環境ほど、意思決定やリスクは上位層に集約されやすく、自分が担う役割が限定されることがあります。
安定は決して悪いことではありません。しかし、「いまの自分は何を伸ばしたいフェーズなのか」を考えずに選ぶと、数年後に物足りなさを感じる可能性があります。

後悔⑤:働き方改善を期待しすぎた

「残業が少ないと聞いた」「ワークライフバランスを重視していると思った」——そうした期待が、プロジェクトの繁忙期で覆ることもあります。建築の仕事は、どうしても納期と外部要因に左右される側面があります。
重要なのは、

  • 繁忙期と通常期の差
  • 業務量調整の仕組み
  • 外注や分業の考え方

といった「体制」を見ることです。平均値ではなく、波の実態を把握しましょう。

まとめ

建築系の転職で起こる後悔の多くは、「選択ミス」ではなく「情報不足」から生まれます。会社名や条件だけで判断するのではなく、自分がどんな役割で価値を出したいのかを理解し、それが叶う環境かどうかを見極めることが重要です。
納得のいく転職のためには、事前に自分の経験や志向を言語化し、第三者の視点で整理することも有効です。転職はゴールではなく、キャリアの通過点。だからこそ、慎重に、しかし主体的に選びたいものです。