BIM時代に求められる
CADオペレーターの新しい役割

BIMの普及と建設現場の変化

近年、建設業界ではBIM(Building Information Modeling)の導入が加速しており、従来の2D図面中心の業務から、3Dモデルを用いた設計・施工・管理へと変化が進んでいます。この変化は、CADオペレーターの役割にも大きな影響を与えています。

図面作成から情報管理へ:業務内容の変化

これまでのCADオペレーターは、設計者の指示に従って図面を作成することが主な業務でした。しかしBIMでは、図面は3Dモデルから自動生成されるため、従来の作図業務の比重は大きく低下しています。
代わって求められるのが、モデルに含まれる属性情報の管理・更新といった“情報を扱う力”です。図面を描くだけではなく、BIMモデルの正確性と有用性を支える業務が中心となりつつあります。

設計支援者としての役割強化

BIMモデルは、設計者の意図を立体的に表現するものです。そのため、CADオペレーターは単なる作業者ではなく、設計者と密接に連携しながらモデルを構築していく役割が求められます。
設計意図を正しく読み取り、反映する“設計支援者”として、CADオペレーターには高度な理解力と判断力が必要とされています。

BIMにおける調整・共有業務の重要性

分野横断的な情報共有が前提に

BIMは建築、構造、設備といった複数の分野が一つのモデルを共有・編集する仕組みです。このため、情報共有と整合性確保が極めて重要であり、調整業務の比重も高まっています。

干渉チェックと調整スキル

特に注目されるのが、各分野のモデル同士が干渉しないように調整する“コーディネーション業務”です。この業務においても、CADオペレーターの役割が期待されています。

ビジュアル表現とプレゼン支援

BIMモデルは、設計意図を可視化するツールとしてプレゼンテーションにも活用されています。パース、ウォークスルー動画、レンダリングなど、視覚的な資料の作成においても、CADオペレーターの力が求められています。

BIM時代に必要なスキルセット

こうした変化に対応するために、CADオペレーターには以下のようなスキルが求められています。

BIMソフトの操作スキル

Revit、Archicad、VectorworksといったBIMソフトを使いこなすことは基本条件となっています。

情報処理と調整スキル

属性情報の管理や、設計意図の理解・反映、干渉チェック・モデル調整など、設計全体を支える情報処理能力が必要です。

表現・プレゼンスキル

レンダリングや動画編集など、資料作成に関する表現スキルも業務の一部として求められるようになっています。

クラウドツールの活用力

BIM360など、クラウドベースでの情報共有やコラボレーションを支える技術も習得すべき項目です。

まとめ:情報のプロフェッショナルとしての価値

BIMの普及により、CADオペレーターの業務は大きく広がりつつあります。図面を描く人から、情報を扱い、設計や施工を支えるプロフェッショナルへの進化が求められています。
今後は、設計者との連携やチーム調整、情報管理やプレゼン支援といった幅広い業務を担う中で、自らの専門性を発揮できる環境が整いつつあります。
こうした新しい建設業界の現場を支えるキープレイヤーとして、CADオペレーターの存在価値はさらに高まっていくでしょう。